日々の仕事をいい加減にこなす社員たち→ゆるキャラ村の村民たち。
その中で社歴のもっとも高い、わたくし村長。
そのわたくし村長にとって、とても縁遠い町がある。
町といっても本当の町では無い。
会社内でゆるキャラ村と対を成すグループがある。
社内でも日々しっかり仕事を行う方たちだ。
この方たちは、そう
「しっかりシティ」
に住む、シティの人たちだ。
シティの人たちはモチベーションが高い。
常に成功事例の共有をするし、他にも会社システムの効率化をことあるごとに模索する。
忙しい毎日の中で、常にそういった時間をつくり続けている
これはとても村民たちにはできない芸当だ。
本当に頭が下がる人たちで、本当に感謝している。
ところで数年前ある人が昇進した。
その方は武田さんという方だ。
武田さんはずっとゆるキャラ村の村民だった方で、村長も務められた方だった。(私が思うには)
よくみんな独身のころ夕方仕事が嫌になって、武田さんをはじめ村民たちで早めに切り上げて飲みに行ったりした。
午前中みんながせっせと仕事をしている中、二人でこそこそ抜け出してタバコを吸いに行ったりもした。
その武田さんが昇進した。
ゆるキャラ村の村民は、決して役職に就けない。
これは会社の決まりではないが、なんかそんな感じだ。
というかこの空気感は間違いなく社内に漂っている。
しかし武田さんは、年も年だしということで昇進させられた。
そこからどうも歯車が狂っていく。
武田さんはしっかりシティに土地勘がなかった。
そして市民らしい立ち振る舞いをしようと…市民らしくしすぎてしまった。
なんだかはたから見ていると、後輩に対する粗さがしとしか思えない指導が目立った。
とても後輩を思っての指導ではなく、武田さんのアピールプレイでしかなかった。
「なんでそんなに噛みつくんだろうな~??」
「もう粗さがしに近いですよ…」
武田さんの部下たちが、口々に話すようになっていった。
もともと営業戦闘能力が高くなかった彼は、ほかの部分で存在感を示そうとしてしまった。
「俺はシティに移住したんだ!」と、
「シティの住民として認められるんだ!」と…
だけど私は思った。
「武田さん…あんたが今頑張って住んでる場所、
しっかりシティ一丁目のタワマンだぜ。
身の丈にあってねぇよ…」
そして何とも言えない気持ちになった。
あのゆるかった武田さんはもういない。
急に環境が変わることは、順応するリスクが大きいことを教えてくれた。
いつか私もこのゆるキャラ村を離れる時が来るのだろうか。
その時は身の振り方を考えよう。
あとは少しずつシティに近い場所の生活をしていこう。
後輩に村長を託し、シティの七丁目あたりに移住しないと。
そこで中古戸建を買おう。築20年くらいのを。
こうして村民はシティに移住していくのだろう。
ところで武田さんはまだ何も気付かず、同じ生活を続けている。
そして今日もまた、無理してタワマンの家賃を払っている。
そして今日もまた、シティで迷子になっている。
コメント